□繰越欠損金とはなんですか
繰越欠損金とは、欠損金を繰り越す処理のことで、正確には欠損金の繰越控除と言います。欠損金とは、税務上の赤字のことです。
単年度の課税所得がマイナスとなってしまった場合、赤字=欠損金が発生します。欠損金発生翌期以降で繰越期限切れまでの9年間の間に課税所得がプラスになった場合、課税所得のプラスとマイナスを相殺することができます。
つまり、赤字を申告によって繰り越すことによって翌年以降差し引くことができるのです。
□繰越欠損金の計算事例
繰越欠損金がどれだけ有用であるのか、簡単ですが繰越欠損金の計算事例を上げます。法人税の実効税率を仮に30%とします。
A社は、第1期の純利益が200万円の赤字でした。もちろん課税所得は0、そのため法人税も0ということになります。ですので、第1期の赤字▲200万円は次期への繰越欠損金となります。
■第1期
税引前当期純利益:▲2,000,000円
課税所得:0
法人税:0
■第2期
税引前当期純利益:2,500,000円
繰越欠損金:▲2,000,000円
課税所得:500,000円
法人税:150,000円
第2期は250万円の黒字でした。第2期の黒字と第1期の赤字▲200万円を相殺して、課税所得は50万円になります。そのため法人税は15万円となります。
繰越欠損金という制度がなければ、第2期の課税所得は250万円になります。そして、法人税額は75万円ということになってしまいます。
繰越欠損金がどれほど効果が高いかお分かり頂けたでしょう。
□繰越欠損金の改正
繰越欠損金のルールが2015年4月1日の法改正により変更となりました。
平成20年4月1日前に終了した事業年度に生じた青色欠損金は7年
平成27年4月1日前に終了した事業年度に生じた青色欠損金は9年
そして今回の改正により、平成29年4月1日以後開始事業年度に生じた青色欠損金は10年になります。
この改正に伴って、帳簿書類の保存期間等も欠損金が生じた事業年度については10年に延長されることになります。
次回は、この帳簿書類の保存期間についてお知らせとします。