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インボイス制度についてご存知ですか?(第3回)

前回に引き続き、インボイス制度についてです。今回で第3回となり最後となります。

今回は「インボイスを発行できない場合の影響」と「免税事業者への対応と独占禁止法について」説明をさせていただきます。

 

インボイスを発行できないとどうなるの?

第1回で述べた通り、「適格請求書発行事業者」にならないとインボイスは発行できません。また、「適格請求書発行事業者」になるためには、消費税の課税事業者になる必要があります。つまり、免税事業者は「適格請求書発行事業者」になることができず、インボイスを発行することができないのです。

インボイスを発行できない場合(免税事業者の場合)、買い手側は消費税の仕入税額控除を受けることができません。

通常消費税は、売上等によって受け取った消費税額から仕入れなどによって支払った消費税額を控除した残額を国に納めるという仕組みです。これがインボイス制度が始まると、インボイスではない請求書や領収書については原則仕入税額控除できない、つまり、仕入れなどによって支払った消費税額を控除することができなくなるのです。すると買い手側としましては、国に納める消費税額が多くなってしまいます。そのため、現在免税事業者の方にとっても無関係の話ではなく、取引先が課税事業者であれば、当然対応が求められてくるのです。

先程、インボイスでない請求書や領収書については原則仕入税額控除ができないと述べました。ただし、例外があります。インボイス制度開始後6年間は経過措置が設けられているので、一部のみ仕入税額控除ができます。仕入税額控除できる割合は以下の通りです。

 

・令和5年10月1日~令和8年9月30日は80%だけ控除可

・令和8年10月1日~令和11年9月30日は50%だけ控除可

・令和11年10月1日~は控除不可

 

免税事業者への対応と独占禁止法違反について

これまでインボイス制度について説明をしてきましたが、取引先に免税事業者がいる場合、どのように対応したらよいのでしょうか。

まずは、自社の仕入れや外注先について「課税事業者」か「免税事業者」か精査する必要があるでしょう。その上で、インボイスを発行するために課税事業者を選択する意向があるかどうかを確認しなくてはなりません。課税事業者を選択しない意向の場合は以下の対応が考えられます。

 

・課税事業者になることを要請

・取引価格の引き下げ

・取引の停止

 

ただし、対応を誤ると独占禁止法や下請法に抵触する恐れがありますので、注意が必要です。

それでは、どのような行為が独占禁止法や下請法に抵触するのでしょうか。そもそも、免税事業者に対して「課税事業者への転換要請」や「税負担が増加する分の値下げ交渉」を行うこと自体は問題ありません。ただし、課税事業者にならない場合に一方的に「取引価格の引き下げ」や「取引停止」などを通告するのは、独占禁止法や下請法に抵触する恐れがあります。

 

以上、簡単ではございますが、全3回に渡ってインボイス制度の概要と留意点についてご説明させていただきました。いずれにしても、取引先への丁寧な対応や話し合いが求められますので、是非参考にして頂ければと思います。

また、インボイス制度についての詳細につきましては、国税庁のホームページ(こちら)をご覧いただくか、当事務所の担当者までご相談ください。

2022年11月15日

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