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相続の申告期限は死後10ヶ月か

一般的に相続税の申告期限は、死後10か月以内だと言われていますが、相続税法第27条には、「その相続の開始があったことを知った日の翌日から10月以内」と書かれています。

つまり、被相続人の死亡日から10か月ではなく相続人が「自己のために」相続の開始があったことを知った日の翌日から10か月になります。

そのため、相続人ごとにそれぞれ、申告期限が違う日になることもあり得ます。

例えば、第1順位の相続人(子)が相続放棄をし、第2順位の相続人(親)が相続人になった場合は、親にとって「自己のために相続の開始があったことを知った日」は、被相続人の死亡日ではなく、原則として第1順位の子が相続放棄をした日なので、その翌日から10か月後が申告期限になります。

 

(相続人が認知症の場合)

最近は、相続人が認知症というケースも増えています。

自分に相続が開始したことを知るには、一定の事理弁識能力が必要ですが、認知症の程度が重く意思能力がない場合は、「自己のために相続の開始があったこと」を知ることができないため、別途、以下の日の翌日から10か月と定められています。

1. 既に成年後見人が選任されている場合

(認知症である相続人ではなく、その相続人の)成年後見人が相続の開始があったことを知った日

ただし、たとえ既に成年後見人がいても、父が死亡し、相続人である子が、相続人である母の成年後見人である場合など、母(成年被後見人)と子(成年後見人)が利益相反になる場合は、成年後見監督人か、監督人がいない場合は家庭裁判所で選任してもらった特別代理人が知った日の翌日から10か月です。

※認知症の程度が軽く、成年後見人ではなく保佐人や補助人が選任されている場合は、通常通りです。

2. 成年後見人が選任されていない場合

その認知症である相続人に成年後見人選任された日

後見の登記事項証明書に記載されている、選任の裁判確定日の翌日から10か月です。

 

(財産評価の時点は?)

例えば、相続開始日が2017年11月1日なら、通常の申告期限は2018年9月1日になりますが、上記「2.成年後見人が選任されていない場合」で、後見人の選任日が2017年12月25日なら、申告期限は2018年10月25日です。

ただしこのような場合でも、 相続税の計算上、財産評価の基準となる時点は、知った日(12/25)ではなく、実際の相続開始日(11/1)です。
相続税計算のベースはあくまで11/1の評価額
なので、 混同しないよう注意が必要です。

 

 

2017年09月28日

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