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会社員に経費はつけられないの?

会社員に経費はつけられないの?

 

 個人事業主の場合は、商品の売上金額から仕入原価や販売経費などの必要経費を差し引いた金額に対して所得税が掛かってきます。会社員の給料に対しても個人事業主と同じように所得税が掛かってきます。

 しかし、個人事業主の場合では仕入原価や販売経費などの必要経費を差し引くことができたのにも関わらず、会社員はスーツや接待費などのお金を経費として差し引くことができず不公平と思う方もいるのではないでしょうか。

 

  ここで誤解してはならないことは「給与所得=年収」ではないということです

  年収金額に税金が掛かっているのではなく、年収から個人事業主の必要経費にあたる「給与所得控除額」という概算経費を差し引いた額に対して税金は計算されますので、会社員の方も全く経費が認められていない訳ではないのです。

 

 個人事業主の必要経費が会社員でいう給与所得控除であるということは上記に説明しましたが、個人事業主の場合、特別の支出がでた場合はどうなるでしょうか。

 例えば、機械設備が突然故障し修理をした・事業所移転の為、引っ越しをした等の支出です。これらの支出も当然経費として認められます。

 同じように、会社員も特別な支出がでた場合に個人事業主と同じように経費として認められなければ不公平でないかと思いませんか。

 では、会社員でいう特別な支出とはどのようなものなのでしょうか。

 例えば資格を取得する為に学校に通った場合や会社員の方にはつきものである転勤に際に掛かる引越し代金や赴任先から自宅に帰省する為のお金は通常の生活では支出されることはないですがイレギュラーでなおかつ多額の支出となることがあります。これらの支出は「特定の支出」と言われていて、今までは「特定の支出」が給与所得控除額を超えないと控除できなかったのですが平成25年度より「特定の支出」が給与所得控除額の2分の1を超えるとその超えた部分を特定支出控除として控除できることとなり今までより制度を利用しやすくなりました。

 

年収300万の会社員の場合(給与所得控除額108万円)

  以前の場合・・・給与所得控除額108万円を超えないと特定支出控除を使えない

  平成25年度以降・・・給与所得控除額108万円の2分の1、つまり54万円を超えれば特定出控除を使える

 以前は、108万円以上の「特定の支出」がないと特定支出控除を使うことができませんでした。普通に考えて年収300万の人が例えば資格取得の為に108万以上の支出をしたとします。残りは192万円です。この192万円で生活をしていかなくてはなりません。そんな無謀な支出をする人はなかなか居ないはずです。

 実際に、平成25年度の税制改正が行われる前までは、この特定支出控除を使う人は全国で毎年6~7名ほどでした。今回の税制改正によって控除額が実質的に引き上げられたことによって、会社員の必要経費がより多く認められることとなりました。

 

 ここで、「特定の支出」の一例をあげますので制度使用の際の参考にして下さい。

■勤務上必要な経費(上限65万まで認められる)・・・スーツやワイシャツの購入費・クリーニング代など勤務場所において着用することが必要とされるもの。また、交際費・接待費など得意先・仕入先などに対する接待・贈答品などがあります。

■資格取得費・・・勤務に必要な資格を取得する為の費用

■研修費・・・業務上、必要なスキルを身に着ける為の研修費用

■転居費・・・転勤の際に必要な引っ越し代金・旅費などの費用

■通勤費・・・通常必要であると認められる通勤のための費用

■帰宅旅費・・・単身赴任で勤務地と自宅の間の旅費の費用(1ヶ月に4往復を限度)

 

※また、平成25年度から特定支出の範囲が拡大されました。

このことも、制度を利用しやすくなった理由の1つになります。

①    弁護士、公認会計士、税理士などの資格取得費が追加された。

②    「勤務上必要な経費」として、図書費、衣服費、交際費、職業上の団体の経費が追加された。

かつて、会社員の必要経費は給与所得控除しか認められていませんでした。しかし、特定支出控除の特例が設けられたことで、税金に関して一歩前進したことになりました。さらに、平成25年度から特定支出の範囲が拡大されることで、控除される機会は広がることとなりました。

「特定の支出」にあてはまる事項がでてきた際には利用してみてはいかがでしょうか。

 

2013年09月04日

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