中小企業は社員の為の福利厚生制度が後回しになりがちです。しかし今の時代、人材確保や離職防止の策としても福利厚生の充実は必須でしょう。特に人生100年時代と言われるようになり、長い老後について不安を覚える人は多いのではないでしょうか。
2018年に導入されましたiDeCo+は、社員が加入しているiDeCoに事業主が掛金を上乗せするだけの少ない負担、手間で福利厚生を充実できる制度です。
まずiDeCo(個人型確定拠出年金制度)とは、公的年金にプラスして給付を受けられる私的年金制度です。加入の申込、掛金の拠出、運用の全てをご自身で行います。掛金と運用益をもとに給付を受け取ることができます。
また、掛金全額が所得控除の対象となるというメリットもあります。通常、運用益には課税がされますが(源泉分離課税20.315%)、iDeCoは非課税で再投資されます。受取方法を年金か一時金かで選択することもできます。年金として受取る場合は「公的年金控除」、一時金の場合は「退職所得控除」の対象となります。
iDeCo+(中小事業主掛金納付制度)とは、企業年金(企業型確定拠出年金、確定給付企業年金、厚生年金基金)を実施していない300人以下の中小企業の事業主が、社員の老後の所得をサポートすることができるように、個人でiDeCoに加入している社員の加入者掛金に追加して掛金を上乗せする制度です。経営者や役員も対象にすることができます。
加入者掛金と事業主掛金の合計額は、月額5,000円以上23,000円以下の範囲で、1,000円単位で決定します。加入者掛金は、小規模企業共済等掛金控除として、全額所得から控除できます。控除処理は事業主が行い、加入者は手続き不要です。事業主掛金は、全額損金に算入できます。
掛金が増えても自分の負担が減ったら、こんな嬉しいことはないですね。大事な社員に長く働いてもらうためにもぜひ iDeCo+を使った福利厚生を検討されてみてはいかがでしょうか。