中小企業が大企業に勝てるところは何でしょうか?売上高、社員数、支店・営業所数、本社ビルの立派さ…どれをとっても勝ち目がありません。仮に「売上を伸ばそう」「社員を増やそう」などと大企業と同じように拡大しようとすると、足場を見失ってしまいます。
では、中小企業が大企業に勝てるのはどんな点でしょう?それは「労働生産性というモノサシ」です。中小企業は常にこのモノサシを念頭に置いた経営を実践すべきです。
「1人当たり月100万円の粗利益」が理想
労働生産性とは、粗利益を従業員数で割った数値。1人当たりどのくらいの粗利益を稼いだかということを示します。月間ベースでは1人当たり80万円、できれば100万円以上の粗利益を出せれば理想といえるでしょう。
なぜ、この数値が重要なのか?会社がおかしくなる最大の要素は、働いている人員の生産性が悪化したときだからです。実際は、この労働生産性よりも、人件費を粗利益で割った労働分配率のほうが経営指標として活用されることが多いです。しかし「分配率○○%」よりも「1人当たり××円」としたほうが頭に入りやすいです。しかも、月間ベースの数値にすることで、社長だけでなく、社員個人にとってもわかりやすくなります。
売上が伸びても利益が落ち込んでは意味がない
中小企業はどうしても売上高にのみ意識がいきがち。売上を伸ばそうとすると人員を増やしたり、値引きをしてでも強引に売ってしまったり、粗利率が落ち込む場合がよくあります。そうなっては、売上が伸びても意味がありません。
これからの経営には「どうしたら1人当たりの労働生産性を高められるか」という視点を持つことが不可欠といえるでしょう。